IECEx/ATEX:防爆(Ex)安全基準の定義と認証
技術情報, 日本語
IECExとATEXは、爆発性雰囲気下で使用する電気機器、部品、装置の構成や試験、マーキングに関する一般的な要求事項を説明したものです。どちらも同じ規格(IEC-EN 60079など)に沿っているため、技術的内容について基本的に違いはありません。
IECExについて
IECExは、爆発性雰囲気下で使用する機器の認証に関する国際システムで、その品質評価規定は、IEC(国際電気標準会議)が作成した規格に基づいています。IECEx規格の目的は、以下の取り組みを通じて、求められる安全水準を維持するとともに、爆発性雰囲気下で使用する機器およびサービスの国際取引を行いやすくすることです。
- メーカーの試験や認証にかかる費用を削減、市場投入までの時間を短縮
- 製品評価プロセスと、IECEx認証の対象となる機器、サービスについて国際的な信頼感を醸成
- データベースを国際的に一元化
ATEXについて
ATEX指令は、爆発性雰囲気下で使用する機器および保護システムを対象としており、それらの製品をEUの市場に投入するまでに適用しなければならない安全衛生上の必須要件および適合性評価手順について定めています。
爆発の原因となりうるもの
爆発には、次の3つの要素が必要です。
- 着火しうる量の可燃物(可燃性の粉塵/粒子やガス/ミストなど)
- 酸素(通常は空気中に存在するもの)
- 着火源(スパーク、静電気、火炎など)
防爆機器がよく使われている場所
可燃性を持つ可能性がある材料を製造、加工または使用する産業や作業。例えば:
- ガソリンスタンド
- 石油の精製所、掘削施設、処理プラント
- 化学処理プラント
- 印刷産業(紙および繊維)
- 航空機の給油施設および格納庫
- 表面処理産業
- 下水処理プラント
- ガスのパイプラインおよび供給施設
- 穀物の取扱・貯蔵作業
- 木材加工場
- 金属の表面研磨作業、特にアルミニウムの粉じん・粒子
IECEx/ATEXにおけるEPL(機器の保護レベル)の定め方
IECEx/ATEX規格では、さまざまな種類の危険(爆発性)条件を分類して、これらの条件における爆発の起こりやすさを定めるために、マークと英数字コードを用いています。
IECEx/ATEXによる防爆認証を受けた機器や装置にはそれぞれ、個別のコードが付与されてラベルで表示されます。
ゴア® ポリベントEx+のコードは以下に示す通りです。
- これらのマーク/文字は、防爆規格準拠の機器であることを表しています。
- コードの残りの部分からわかるのは、ある装置が安全に使用できると考えられる機器グループ、カテゴリ、ゾーン、保護レベル、雰囲気、その装置によって得られる保護の種類です。
EPL(機器の保護レベル)
EPLは、ある装置によって得られる保護のレベルを示すものです。可燃性雰囲気が発生する可能性と、着火源が当該装置上に生じるリスクの両方を評価して決められます。IEC60079-0では、可燃性のガス(G)または粉じん(D)を含む爆発性雰囲気下で使用する装置は、以下の3つの保護レベルに分類されます。
- GaまたはDa:「非常に高い」保護レベル、ゾーン0およびゾーン20用
- GbまたはDb:「高い」保護レベル、ゾーン1およびゾーン21用
- GcまたはDc:「通常の」保護レベル、ゾーン2およびゾーン22用
IECにおけるEPLの指定は、ATEXにおけるカテゴリとゾーンの指定に近いものです。以下はゴア® ポリベントEx+の例です。
ゴア® ポリベントEx+(PMF200400)のコードの意味
Exマーク |
|||
機器グループ |
|||
機器カテゴリ(可燃性雰囲気) |
⇒ |
相当するゾーン |
|
機器の環境(使用ゾーン) |
|||
保護の種類 |
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雰囲気グループ(IIまたはIII) III=可燃性ダスト |
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機器の保護レベル(IECExのみ) |
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