ゴア® プロテクティブベントのFAQ
よくある質問(FAQ), 日本語
一般的な質問
ゴア® プロテクティブベントは、内部の圧力差を調整します。これにより、筐体と内部の繊細な電子機器のいずれも信頼性と寿命が向上します。
ゴア® プロテクティブベントは、以下の仕組みで筐体の損傷を防止できます。
- 急激な圧力の変化(高度や温度の変化、急な強い雨などが原因で発生)に対応して、筐体内の圧力を速やかに調整します。これにより、筐体の部材への負荷が軽減され、シールが機能しなくなったり筐体自体にひびができたりするリスクが抑えられます。
- 筐体内の電子機器が熱くなった際に発生するガスを放出します。これにより、ガスが危険な濃度に達するのを防ぎます。
ゴア® プロテクティブベントは、以下の仕組みで筐体内の繊細な電子機器の損傷を防止できます。
- 粉塵、泥、液体や流体、オイルなどの異物が筐体に侵入するのを防止します。
- 水蒸気を筐体から逃がすことで、結露が溜まるのを抑え、腐食の可能性を減らします。
- ガスを外部に放出して、電子部品をガス汚染から保護します。
ゴア® プロテクティブベントは、照明システム、通信機器、太陽光発電システム、重機・農耕機、監視・セキュリティーシステム等のその他の屋外用電子機器など、ほぼあらゆるタイプの屋外用電子機器向け筐体で使用されています。
ゴア® プロテクティブベントは、ePTFEを使用することで、通気性と防水・防塵性を非常に効果的に両立しています。ePTFEは、空気とガスを通過させ、筐体内部と屋外環境との間の圧力差を迅速かつ継続的に調整します。一方で、ゴア® プロテクティブベントは、非常に過酷な環境においても、粉塵、塩分、水やその他の液体などの異物の侵入を効果的に防ぎます。
ゴアの高度なベントテクノロジーと技術サポートは、世界トップレベルです。世界各地のお客さまと協力して独自製品の開発プロジェクトに取り組み、設計から製造まで行っています。
ゴア® プロテクティブベントは世界で6億個以上を販売しており、以下を超える年月にわたって専門知識を蓄積しています。
- 太陽光発電システムで10年
- 重機・農耕機で10年
- 監視・セキュリティーシステムで10年
- 照明産業で15年
- 通信インフラ機器で15年
製品についての質問
ゴアは、ePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)100%の独自の多孔質ゴア™ メンブレンの発見をきっかけにベントテクノロジーを発展させました。
ePTFEは、実質的にすべての工業用化学薬品に耐性があります。(詳しくは「ePTFEの耐薬品性」をご覧ください。)また、熱安定性が高く摩擦係数が低いため、実用化されている熱可塑性樹脂として最高レベルの汎用性があります。さらに、加工により正確に特定の性能特性を付与することも可能です。
ゴアではこのテクノロジーの開発と継続的改善を行い、各種の特徴的な特性を備えたベントを生み出してきました。例えば、水やその他の表面張力が高い液体をはじく撥水性メンブレンや、撥水性に加えてオイル、洗剤、アルコール、その他の表面張力が低い液体をはじく撥油性メンブレンなどです。
拡大を続けるゴア® プロテクティブベントの製品ラインアップは、幅広い製品形態・サイズと多様な性能特性を網羅しており、さまざまな用途で優れた信頼性を実現します。
ゴア® プロテクティブベントは、スクリューイン(ねじ込み型)、スナップイン(はめ込み型)、粘着材付きの各形態がご利用いただけます。
- スクリューインベント:取り付けが容易で、浸水後でも水や塩分、腐食性の液体に対する耐久保護性能が求められる過酷な用途向け。
- スナップインベント:大量生産用途向け、過酷な環境で安定した性能を長期間発揮。
- 粘着材付きベント:省スペースでコンパクト、取り付けの自由度が非常に高い(手作業、自動取り付けを問わず、また筐体の内部、外部いずれも設置可能なラインナップあり)。
各製品形態で、さまざまなサイズ、構造、性能特性がご利用いただけます。ゴアの担当者が以下のような要素を踏まえて、お客様の用途にどれが最適か判断するお手伝いをいたします。
- 求められる機械的堅牢性
- 該当する等級(IP規格など)
- 筐体の設計とサイズ(空きスペース)
詳細は、「機器の設計、ベントの選択と取り付け」についてのFAQをご覧ください。
はい。ゴア® プロテクティブベントは、筐体への液体や異物の侵入を防ぎつつ、空気やその他のガスがいずれの方向にも自由にメンブレンを通過できるようになっています。このように空気やガスを継続的に双方向に交換することで、筐体内部と外部環境との間の圧力差が速やかに調整されます。
ゴアでは、筐体を通気させたい速さに応じて、さまざまな通気量のベント製品を幅広く提供しています。(「機器の設計、ベントの選択と取り付け」についてのFAQに詳細を記載しています。)
いいえ。ゴア® メンブレンの多孔質構造により、空気やガスは圧力差が非常に小さくても移動可能です。アンブレラ型バルブなど従来のバルブシステムと異なり、ガス移動 / 圧力調整を可能にするために応答圧力は必要ありません。
用途ごとの要件に応じてアクリル系とシリコーン系のいずれかの粘着材を使用しています。粘着材付きベントの製品データシートに、各ベントに使用されている個別の粘着材の耐用温度とシステム性能が詳しく記載されています。
W. L. Gore & Associatesは、ゴア® プロテクティブベントのウェブサイトに掲載された製品がEU Commission Decision Directive 2011/65/EC、Directive 2002/95/EC (RoHS)およびDirective 2003/11/ECで定められた基準値を下回ることを宣言します。
ベントの性能
はい。世界各地で、ゴア® プロテクティブベントは非常に過酷な条件の実使用環境で長期間にわたり高い信頼性を発揮することが確認されています。この性能が安定して発揮されるよう、社内および外部での大規模な加速寿命試験や、厳格な製造品質システム、徹底した製品検査プロセスを通じて、製品が工業規格に適合しているか検証しています。
データシートには掲載された各製品について具体的な試験内容と性能基準を記載しており、ホワイトペーパーでは厳しい条件での信頼性を証明しています。
個々のベントの寿命は、用途と使用機器、さらに、そのベントが運用されるさまざまな環境条件によって異なります。ゴアでは徹底した試験を行い、各種の過酷な環境条件での製品の耐久性と信頼性を保証しています。データシートには、以下の試験で測定される性能要件を各製品がどの程度満たしているかを記載しています。
- 防水・防塵試験
- 温度試験
- 湿度試験
- 塩水噴霧試験
- 腐食性ガス試験
- Fungus Testing
- 難燃性および紫外線耐性試験
- 防爆試験
- 太陽光発電産業試験
はい。ゴア® ベントは非常に過酷な環境で筐体を保護できる設計で、その保護性能は使用実績で証明されています。ゴアでは、IEC(国際電気標準会議)の防水・防塵(IP)規格およびアメリカ電機工業会のNEMA保護等級に従ってベントの試験を行っています。
製品データシートでは、特定のベントが対応できる具体的な保護等級を確認できます。達成可能な保護等級に影響する可能性のあるその他の要素については、「機器の設計、ベントの選択と取り付け」についてのFAQをご覧ください。
どのような筐体でも、結露の可能性を完全になくす方法は存在しません(通気機構のない完全密閉型の筐体でも、シール部やケーブルコネクターの破損や、ハウジングなどのプラスチック部材を通じた拡散により、最終的に液体を通してしまいます)。
ですが、ゴア® プロテクティブベントは、長い間に筐体内に閉じ込められたままとなる可能性のある結露の量を、最小限に抑えられます。それは、水蒸気が多孔質メンブレンを通じて双方向に移動するからです。侵入した水蒸気はメンブレンを通して容易に外へ戻ることができ、筐体と外部環境が平衡に達するまでこの状態が続きます。
はい。ゴア® プロテクティブベントはすべて水をはじき、優れた撥液性を発揮して、雨などの一般的な環境条件に対する保護に役立ちます。
はい。ゴア® プロテクティブベントは、洗剤やオイル、クリーナーなど幅広い化学薬品に耐える設計の耐久撥油性メンブレンを使用したものもご用意しています。撥油性メンブレンは、業務用途で筐体が高圧洗浄、過酷な環境や汚い環境、あるいは水以外の液体にさらされるような場合にも対応できることが確認されています。
はい。ゴア® メンブレンはePTFE製のため、紫外線安定性があります。ゴアのポリベントに使用されているプラスチック材料は、UL 746C規格準拠で屋外用途に適しています。
データシートをご参照いただければ、各製品が該当するULの可燃性等級を確認できます。
はい。ゴア® メタルベント(PMF100444)は、爆発性雰囲気下で使用する機器を対象とするIEC ATEX指令94/9/ECに基づき、以下を始めとするEx等級の認証を受けています。
- I M2 Ex e I
- II 2G Ex e II
- II 1D
はい。ゴア® プロテクティブベントの多くは、IP67(水深1mに30分)の防水基準に適合しています。水と異物から機器を保護し続け、かつ過剰な圧力を調整できます。また、さらに高い圧力や長い浸水時間に耐えられる設計の特殊なゴア® ベントもあります。
ゴアでは、ベント分野での経験とePTFEメンブレンの専門知識に基づき、さまざまな用途の要求に最適化した性能のベントソリューションを開発してきました。
ソリューションのカスタマイズが必要な用途の場合は、お問い合わせフォーム「Finding the Best Fit For Your Application」(英語)で個別のニーズをご説明ください。最も適切な情報を回答いたします。
機器の設計、ベントの選択、ベントの取り付け
設計プロセスのできるだけ早い時期にお願いします。ご相談が早いほど、お客様の製品の性能や寿命を最大限に高める最適なベントを選べる自由度が高まります。
初期設計から新規部品の後付けまで、製品ライフサイクルのどの段階でもお客様をサポートいたします。
機器には必ず何らかのシールが必要ですが、ゴア® プロテクティブベントを使うことで、シール部を頑丈にする必要がないため、製造のトータルコストを削減できます。例えば、圧力差に対処する必要がないので、使用するガスケットの数や、筐体を締めるボルトとナットの数を減らせます。
必要とする通気量は、筐体が一定時間で外部と交換する必要のある空気の量になります。必要とする通気量のために必要なベントの数は、以下に基づいて算出されます。
- 筐体のサイズ/設計、内部容積、温度条件(電子部品などの熱源によるもの)。
- 想定温度範囲、高度の変化、許容圧力差などの外部環境要素。
見積のご請求や、ベント使用の要件に関する技術的なご相談は、「Finding the Best Fit For Your Application」(英語)からお願いいたします。
取り付けたベントが自由に通気できるよう、ふさがれない状態を維持してください。ベントがふさがれないようにする良い方法は、筐体の垂直な面にベントを設置することです。ただし、ゴア® プロテクティブベントは、筐体の構造によって様々な位置に取り付けられる自由度があります。
ベントの性能のためには、適切な取り付けも欠かせません。製品データシートに記載されている取り付け手順が、ベントを適切に取り付けるのに役立ちます。
特定の用途でのベント使用に関する詳細な技術的相談には、お問い合わせフォーム「Finding the Best Fit For Your Application」をご利用ください。
本製品は、工業製品に限定してご使用ください。
食品、医薬品、化粧品または医療機器の製造、加工、包装工程にはご使用いただけません。