SoC（システムオンチップ）のスロットリング発動を回避または遅らせる

モバイルエレクトロニクス機器に搭載されるSoC（システムオンチップ）とは、複数のプロセッサが1枚のチップに集積されたもので、マイクロコントローラとして機能します。SoCにはデータやグラフィックスの処理機能からメモリやセカンダリストレージ、その他の回路まで、システムの実行に必要なすべてのコンポーネントが統合されています。

機器の様々な機能の制御を担うSoCは、最も発熱量が多い部品であることも少なくありません。このため、モバイルエレクトロニクス機器において、表面のヒートスポットを発生させる要因となっています。安全な温度を維持する為に、ヒートスポットには最大許容温度が設定されます。この上限を超えないよう、スロットリングによってSoCの電力を下げ、パフォーマンスを抑制しなくてはならないのです。

こうした理由から、SoCの熱対策はスマートフォン、ノートパソコン、スマートウォッチ、AR/VRなどのモバイル機器の熱設計技術者にとって非常に重要なものとなっています。効果的な熱対策はSoCの発熱量を解析するところから始まります。

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SoCの熱解析を行うのは簡単ではありません。使用状況によって、チップの発熱量が異なるためです。大量のデータを処理する場合と高品質のグラフィックスを処理する場合では、電力要件が異なることがあります。より多くの電力を必要とする状況では、発熱量も増加します。

SoCの熱測定には、赤外線カメラを使用することで大まかな発熱特性を知ることができます。SoCで発生した温度を正確に測定するには、熱電対を利用します。

SoCの熱解析が完了すると、熱設計技術者はSoC から熱を逃がす手段を検討し、SoCがより高い電力でより長く動作できるようにし、スロットル閾値に達するのを回避または遅延させるようにします。

• 一般的には、TIM(Thermal Interface Material)やサーマルペーストなどを使用して、SoCとグラファイト、ヒートパイプ、ベイパーチャンバーなどの熱拡散部材を接続します。これらの部材は、SoCから機器内のより温度の低い領域へと熱を拡散します。
• これに加えてGORE^® Thermal Insulationを使用することで、高温のSoCによる機器表面上のヒートスポット発生を抑制し、ソフトウェアアルゴリズムによってスロットルが作動するのを防ぐことができます。

GORE^® Thermal Insulationは、表面温度を低下させる機能を持ちます。また、グラファイト材と併用することで、SoCのピーク性能を向上させたり、スロットリングまで特定の電力レベルで動作する時間を延長したりすることを可能にします。

GORE^® Thermal Insulationとグラファイト材を組み合わせることで、大きなエアギャップ（空隙）をより薄い断熱材に置き換え、空いた空間にグラファイト材を追加することが可能になります。この複合ソリューションは、エンドユーザーが体験するパフォーマンスの最適化や、ヒートスポットの表面温度の低減、より薄型の高性能デバイスの開発を実現します。

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