サーマルインシュレーションとグラファイト材を組み合わせて熱拡散を強化
熱伝導率の異方性比率を100倍〜1000倍に増大
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製品概要
熱設計技術者は、グラファイト材やヒートパイプ、ベイパーチャンバーなどの熱拡散部材を使用してより広い面積に熱を拡散・放熱させ、機器のパフォーマンスを向上させます。しかし、より高い熱拡散性能が求められると、このような熱設計でもヒートスポット対策が不十分な場合があります。z軸方向の熱抵抗が不十分だと拡散率が低くなり、機器の表面に熱が伝わることでヒートスポットが発生します。
GORE® Thermal Insulationは、そのような場合でも熱拡散効果を高めることができます。高品質のエアロゲル技術によって垂直方向の熱伝導率(Kz値)が空気より格段に低いGORE® Thermal Insulationは、エアギャップをしのぐ断熱効果を発揮します。熱拡散部材と併用することで、さらに高性能な熱設計を実現することができます。
熱拡散部材としてのグラファイト
グラファイト材の熱伝導率は、天然か人工かの違いや、メーカーや厚さによって様々です。また、グラファイト材は異方性が高く、面方向の熱伝導率が垂直方向よりも高くなります。
グラファイトシートの熱特性
グラファイト材のみのソリューション
熱伝導率が高いグラファイトシートは、面方向の熱抵抗の低さと、垂直方向の適度な低さを備えています。この組み合わせにより、以下のような理想的な熱伝導特性を実現することができます。
- 面方向の伝導率が600–1900 W/m·K
- 垂直方向の伝導率が3–20 W/m·K*
これらの特性が組み合わさることで、熱伝導率の高いグラファイトシートは、異方性比率が約500:1になります。
グラファイト材とGORE® Thermal Insulationの組み合わせ
一方で、グラファイト材と、0.020 W/m·Kとさらに垂直方向の伝導率が低いGORE® Thermal Insulationを組み合わせると、異方性比率を100倍〜1000倍に増大することができ、熱拡散能力が向上します。
*出典: https://neograf.com/products/thermal-management-solutions/egraf-spreadershield
グラファイト材と断熱材の併用
モバイル機器内部の熱を拡散する方法として、グラファイトシートのような高い熱伝導率を持つ部材が広く採用されてきました。中でもグラファイトシートは、スマートフォンの熱対策として定番の部材です。しかし、グラファイトメーカーの努力により垂直方向の伝導率が大幅に改善されたとはいえ、まだ表面に熱が伝わってしまうという問題があります。このため、設計者は大きなエアギャップをグラファイトとスマートフォン筐体の間に設け、熱伝達を抑える工夫をしています。しかし、エアギャップはスペースを必要とします。本来なら、より効果的にプロセッサから熱を逃がしてパフォーマンスを改善するためにグラファイト材を増やすべき空間を占拠しているのです。
そこで、断熱材と熱伝導率の高いグラファイトシートを組み合わせることで、熱設計者は大きなエアギャップをより薄い断熱材に置き換えることが可能になり、空いた空間にグラファイト材を追加することができるようになります。この併用型ソリューションはプロセッサから熱を逃がす能力がより高いため、プロセッサをよりハイパワーで動作させることが可能となり、エンドユーザーに高いパフォーマンスを提供できるようになります。
GORE® Thermal Insulationの技術情報はこちらからご覧ください
GORE® Thermal Insulation でパフォーマンスを高める | GORE® Thermal Insulation でヒートスポットの温度を下げる | GORE® Thermal Insulation でより薄型の設計を可能にする |
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フレキシブルグラファイト
多くのモバイル機器では、熱対策のため柔軟性のあるグラファイト材が求められています。これは、折りたたみ式スマートフォンやAR/VRグラスなどの曲面があるデバイスの登場といった新たなフォームファクターや、非平坦なグラファイト材を必要とする内部構造が原因だと考えられます。
しかし、柔軟性によってグラファイトの構造に変化が生じないか、グラファイト上部のエアギャップが非均一になるため、ギャップが薄い部分の表面にヒートスポットが発生しないかなどの懸念が生じることがあります。表面のヒートスポットについては、断熱材がフレキシブルグラファイトの性能向上に役立ちます。断熱材は厚さと熱抵抗が均一の固体材料であり、グラファイトと機器筐体との間に遮熱層を設けることができるためです。また、断熱材の圧縮性は、フレキシブルグラファイトを固定するのにも役立ちます。
グラファイト材 VSサーマルペースト・TIM(Thermal Interface Material)
グラファイト材は、機器の長短辺に沿って面方向に熱を移動させることができるモバイル機器において有利な素材です。サーマルペーストやTIMは、熱を垂直方向、つまり機器内部で上下に移動させるために使用されます。サーマルシートやTIMは、プロセッサとグラファイト材の間に設置されることが多く、熱をできるだけ速くプロセッサからグラファイトに移動させる機能を担います。熱を逃し、機器が最高のパフォーマンスを維持するのに役立っているのです。
グラファイトシートとTIMの併用は、時間の経過とともに動く可能性があるペーストではなく固体材料を使用するため、適切とされるケースが多い手法です。GORE® Thermal Insulationは、表面への垂直方向の熱伝達とヒートスポットの発生を防ぐため、グラファイト材の反対側に設置します。
ゴアは、設計から製造までお客様をサポートします。
ゴアの製品が、世界のOEMに支持されているのは、ペースが早く競争の激しい市場で、 当社の製品とサービスが開発及び部品供給面でのリスクを低くしながら、差別化された 画期的な製品を開発するのに役立っているからです。
世界のモバイル業界への提供実績
ゴアは、世界のOEMの幅広い用途(スマー トフォン、スマートウォッチ、イヤホン、スマー トスピーカー、カメラ、タブレット、無線機な ど)に、ベントフィルター製品の理想的供給 パートナーとして数十年の実績を積み上げてきました。
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ゴアは、モバイルエレクトロニクス産業で求められる迅速な設計・試作対応を通じて、開発チームがスケジュール通りにプロジェクトを進められよう支援しています。
供給安定性
モバイルエレクトロニクスの分野で長年の経験を有するゴアは、プロジェクトの成功に欠かせない製品の大量供給や素早い量産化対応を、製品性能を維持しながら迅速なタイミングで行うことができます。
確かなパフォーマンス
用途に対して最適な製品を供給するために、ゴアは品質、性能、信頼性全てにおいて最高な基準を保つようにしています。最終用途や要件の深い理解に基づき、仕様通りに正しく機能する製品を提供しています。
本製品は、一般工業用途に限定してご使用ください。
食品、医薬品、化粧品、医療機器の製造、処理、または包装作業にはご利用いただけません。
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