FCNTとゴア20年間のパートナーシップ
ケーススタディー, 日本語
サクセスストーリー:ゴア® ベントとゴア® サーマルインシュレーションのFCNT防水携帯電話への採用
日本の先端技術企業であるFCNT株式会社は、高い防水機能を持つ携帯電話・スマートフォン技術で知られています。FCNTの日常生活に対応する防水携帯電話には、初号機から、ゴアの技術が搭載されています。
ゴアのフィールドセールスアソシエイトである白井努が、20年にわたるFCNTの防水携帯開発におけるパートナーシップを、重要な局面にスポットを当てて振り返ります。
始まり(2003)
「FCNT(当時は富士通株式会社のモバイル事業本部)との関係は、2003年5月、ゴアのウェブサイトを通じた問い合わせから始まった」と白井は振り返ります。この問い合わせから間もなく、FCNTはゴアと共に、携帯電話の防水ベント技術を開発することとなりました。
「薄型の防水携帯電話を製品化するのは、FCNTが初めてでした。それまで、防水機能は堅牢な携帯電話にしか使われていませんでした。」と、白井は続けます。薄型の防水携帯の開発はかなりチャレンジングなものでしたが、ゴア® アコーステイックベントは競合他社が追随できない高い性能品質を証明しました。これが現在まで続く親密な技術協力の出発点となりました。
この防水技術開発の第一歩から、ゴアはFCNTにとって重要なイノベーションパートナーとなりました。「当時は、FCNTと一緒に弊社のベントパーツを最適化する方法を学びました。構造に合わせて部品のサイズのカスタマイズや、最適な接着材を選択するなど、調整する必要がありました」と、白井は説明します。
最薄防水端末「F703i」の開発に成功(2007~2008年)
白井は、この協力関係の初期段階を次のように説明します。「防水携帯電話の開発当初は、FCNTの開発スケジュールに合わせて、試作の都度カスタマイズしたパーツの修正をするケースがほとんどでした。携帯電話の防水技術の初期段階であったため、これらの調整作業は試行錯誤の連続でした。FCNTが寄せるゴアへの信頼に応えるために出来る限りの調整を行いました。」
FCNTとの綿密なパートナーシップと、責任ある関係者間の良好なコミュニケーションのおかげで、ゴアはこの挑戦と時間的に厳しいスケジュールを乗り切りました。「これらのプロセスを通じて、私たちの能力をお客様に証明することができ、また、私たちの技術力を高めることができました」と白井はまとめます。
新しいニーズへの対応: 圧力調整機能(2010年)
白井は、10年近くの協力関係を経て、FCNTプロダクト事業部の事業部長、肥塚氏から緊急の依頼を受けました。1週間後に量産出荷を控えた製品に、新しい圧力調整機能が必要であることが発覚しました。デバイスの内圧が上昇し、音響品質に影響を及ぼしていたためだったのですが、彼はゴアのプレッシャー ベントをこの製品に使用したいと考えていました。
白井は「我々はプレッシャー ベントの利用に対する正しい知見があり、過去のFCNT製品に利用していた加工ツールから、適切なパターンを用いることで最短納期に対応しました。FCNTは出荷予定に間に合わせることができたのです。」と振り返る。
タブレットに使用されたゴア® ベント(2011年)
ラスベガスで開催されたCTIA Showにゴア技術を使用したFCNT製スマートフォンを出展(2013年)
ゴアは、米国ラスベガスで開催されたCTIA 2013で、FCNT製「ARROWS X F-02E」と「らくらくスマートフォン」を展示し、採用されたゴアベントのデモンストレーションを行いました。お客さまは、携帯電話に水をかけて優れた防水機能を試すことができました。
FCNTスマホは震災に耐えた(2014年)
改めて防水機能技術力の重要性が明らかになったのは東日本大震災から2年後でした。白井は、2014年に地元記者がwirelesswire.jpでデジタル公開した記事を紹介します。: 旧市民会館で工事関係者が携帯電話を見つけ、記者に手渡します。まさか使えるとは思われていなかたったが、記者が電話をつなぐと、電源が入ったというものでした。
2年間、大量の海水や泥にさらされた携帯電話でも、テキストメッセージや電話を受信することができたのは、ゴアのベントフィルターを搭載したモデルFCNT製「らくらくホン6」でした。
高い防水性と高通気性を両立(2014年)
FCNT製の「らくらくスマートフォン」は、日本で普及しているシニア向けの端末です。タッチスクリーンのインターフェースは、実際のボタンがあるかのようにデザインされており、高齢者の方にも使いやすくなっています。
この機能は筐体内部の体積変化が大きいため、高い圧力制御能力を持つベントを組み込む必要がありました。高い防水機能及び高通気性機能を持つゴア® プレッシャーベントは、相反する両方のニーズを満たすことができました。このベントフィルターのラインアップにより、設計エンジニアはタイムリーに課題を解決することができました。
FCNT製の洗える「らくらくホン」(2017年)
ゴア® アコーステイックベント GAW334とゴア® プレッシャーベント PE12が搭載されたFCNTの「らくらくスマートフォン F-52B」は、洗剤での洗浄が可能詳細はこちらから
ゴアの新しい断熱技術(2020年)
2020年、FCNTは自社の5Gスマートフォンのフラッグシップモデルの発熱量が多く、試作段階で温度の拡散が不十分である課題が発生しました。「FCNTから、スマホの表面温度を下げることができるソリューションを必要としていると連絡がありました。その年、パンデミックによって、世界中の企業が新しいコミュニケーション方法を模索することになりました。」と白井は振り返ります。
オンラインツールでの営業は多くの企業にとって困難でしたが、ゴアと FCNT にとって、パートナーシップはさらに強化できました。異例な条件にもかかわらず、ゴアは FCNT に革新的な熱対策ソリューションを提案することができ、それは現在 arrows 5G F-51A に実装されています。:ゴア® Thermal Insulation。さらなる詳細は、5G スマートフォンにおける ゴア® Thermal Insulationの事例をご覧ください。
未来を見据えたパートナーシップ
ゴアとFCNTのパートナーシップは20年以上前に始まりました。FCNTの防水携帯電話1号機から最新のスマートフォンまで、100機種以上に及ぶFCNTの製品にゴアの技術が利用されています。白井は最後に、強調します。「これは、ゴア製品の性能に対する信頼が正しい裏付けによるものであることを明確に示しています。FCNTの今後のさらなる展開に向けてサポートすることを楽しみにしています。」
*FCNT株式会社は、2021年4月1日付で富士通コネクテッドテクノロジーズ株式会社から社名変更しました。FCNT株式会社ホームページ www.fcnt.com